明治風物誌 ― 2007年08月30日
明治風物誌を読み終えた。最初は単に「ちくま学芸文庫」が読みたい気分にあって 本屋をうろついていた時、明治時代の空気というものが感ぜられればよいな、と思って 手を出した。
筆者の柴田宵曲は俳人であり、正岡子規全集の編集等に 携わった方なのだそうな。この本はこの新聞に連載された随筆を著者が亡くなった後に 書籍として昭和46年にまとめられたものである。
内容としては「サーカス」「ポスト」「万年筆」「瓦斯」「デヤボロ」「コックリさん」 など、さまざまな事物をテーマに、正岡子規、夏目漱石、寺田寅彦、斎藤緑雨、 などの文人のエピソードや著作物を絡めて語られている。
「デヤボロ」の章では
「今日になると先づデヤボロの形から説明してかゝらなければなるまい。」
とあるのだけれども、アニオタとしては、アニメ「カレイドスター」でロゼッタ・パッセルの 得意技としての登場が印象に強い。なんにしても明治においてディアボロが流行して いたことがあるというのは面白い。
個々の文章は3ページ程度で、全体に静かな、淡々とした印象のする文章 なのだけれども、その文の背後にある膨大な知識には関心するしかない。 末尾にある解説で、なるほど、と思う。
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