坂の上のマンション2005年04月20日

朝、家を出て地下鉄の駅に行く途中、拡声器の声が流れ聞こえてきた。マンショ ンの建設現場に向かっていたトラックと、それを阻止しようとしている住民か、 その関係者の小競り合いらしい。

司馬遼太郎に「坂の上の雲」という作品があるが、その舞台となったといわれる 坂の上に建設されようとしているマンションについてトラブルだ。 樋口一葉などが暮らしていたことで有名な谷地の南側の斜面の上にも 相当するため、現状の計画では圧迫感が強すぎる、というのだろう。 あるいは日照にも影響があるのかもしれない。建設そのもに反対というの ではなく、階高を低くすることを求めている、ということである。

五千円札のデザインに一葉が選ばれたこともあってか、このところは観光客も 多い。週末になると地図を手にした夫婦連れとか団体客をよくみかける。 未だに井戸もあり、狭い路地には猫が寝ているいい雰囲気の場所である。 それがこのところ、マンションの現状への計画への反対のノボリなどで 物物しくなってきている。

都心回帰ということもあってマンションがあちこちにできている。実際、それ なりの住居を供給しようとするなら、それなりのマンションを作らないと間に 合わないだろう。土地の値段が高すぎる。かくいう私も、電車に何十分も乗る のがいやになって引越した。秋葉原と上野と神保町が徒歩の範囲内である、 今の場所の部屋を借りて引越してきたのが2年近く前のことだ。 自由気ままに引越せるのは独り暮らしの特権だ。

一気に人が増えてくるとトラブルも増えてくる。新しいマンション建設にまつ わる住民運動はこの近辺だけでもいくつも発生している。また、既に供用が 開始されているマンション住民と地元民との間の紛争めいたものを目に することもある。毎週金曜日になると新聞に折り込まれる、新聞よりも ぶ厚い不動産関係のチラシを見る度に複雑な気分になる。

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